コスパ最強の高音質イヤホン「Ultimate Ears Triple.fi 10 Pro」レビュー!

買ったものレビュー (イヤホン・ヘッドホン・オーディオ) 約3分で読めます 投稿 2012/10/01 更新 2019/12/26

コスパ最強の高音質イヤホン「Ultimate Ears Triple.fi 10 Pro」レビュー!

今回紹介するのは、Ultimate Earsのカナル型イヤホンのフラグシップモデル「Ultimate Ears Triple.fi 10 Pro」です。そろそろ後継機の「UE900」も発売される頃ですし、今更感がありまくりですが、気が向いたので簡単にレビューでも書いてみたいと思います。

さて、”10 Pro”の略称で親しまれているこのイヤホン、発売されたのは2007年で今からもう5年以上も前になりますが、イヤホンとは思えない圧倒的な音場の広さと解像度の高さであっという間に人気を集め、今や高級カナル型イヤホンの定番中の定番となっています。

発売当初の価格は5万円ほど。ちなみに筆者が購入したのは3年ほど前で、当時は3万5千円程度でしたが、今ではAmazonなどでは2万円弱で販売されており、現在コストパフォーマンスでこれを上回るイヤホンは存在しません。

音質だけ見ても確実に5万円以上のものを持っており、現行の各メーカーの最新モデルの同価格帯カナル型イヤホンと比較しても未だにトップクラスの実力を持っているのは間違いなく、これが2万円弱で購入できる現在の価格は安すぎるとも言えるくらいです。

箱はこんな感じ。3年前の購入時にレビューを書こうと思って撮っておいた写真です。今まで書かずに放置していました。

箱の裏はこんな感じ。当時はこのような青と銀色の箱でしたが、今は変わっているかも知れません。

箱を開けてみると、このような形でイヤホンが収まっていました。

付属品はメタル製のキャリーケースと、シリコン製やらコンプライ低反発のイヤーチップがいくつか。航空機用のアッテネータ(抵抗器)なども入っていました。

全体のぱっと見はこんな感じ。高級感はあまりありません。ケーブルも普通のイヤホンに比べるとやや太めで、クセが付きやすく取り回しは良い方ではありません。

形状はこのように筒状でイヤホンとしてはかなり大きめのサイズです。写真では反射の影響で黒っぽく写っていますが、色はガンメタリックブルーになります。

イヤーチップを外してみたところ。写真ではコンプライの低反発チップを使っていますが、シリコン製チップに換えると低音の量感が増すなど音の傾向がかなり変わってきます。

ケーブルの先端部分には針金が入っていて、このような形にして耳に引っかけるように装着します。いわゆる”シュアー掛け”と呼ばれる装着法です。

ちなみに、10 Proのケーブルはこのように取り外し可能になっていて、付属の純正ケーブルは質が悪いと言われており、2chなどでもよく「10 Proの性能を引き出すにはリケーブル(ケーブルの交換)は必須」なんて言われています。

そこで筆者は以前に、Null Audioの「Lune」という10 Pro専用の高級ケーブルを買って試してみたことがありますが、結果は音は全く変わらず。そのときの様子はこちらにレビューを書いているので参考までに。

音質については今更言うまでもないことなので、ここではいちいち細かく評価するつもりはありませんが、現行の各メーカーの同価格帯カナル型イヤホンの最新モデルと比較しても、個人的には未だに音質の総合力で10 Proを超えるイヤホンは登場していないと考えています。

10 Proの音作りの特長と言えば、何と言っても圧倒的な音場の広さによる立体感と解像度の高さで、このうち解像度については10 Pro以上と感じるイヤホンもちらほら存在しますが、音場の広さでは10 Proを超えているイヤホンは見たことがありません。

おそらく今後も、一般コンシューマー向けのイヤホンでは出てくることはないでしょう(特注のカスタムIEMは分かりませんが)。なぜなら、これほどの音場の広さを実現しているのは、ひとえに筒状の奇抜な形状によるものだと考えられるからです。

この奇抜な形状が10 Proの唯一の欠点とも言える部分で、装着した際に筐体が耳から大きく飛び出てしまうため、髪が短くて耳が隠せないと人前で使用するのははばかられますし、ガンメタリックブルーの個性的なデザインも苦手な人の方が多いのではないかと思います。

加えて、何しろこの形状なので装着感は人によってかなり合う合わないが分かれます。筆者の耳には問題なくフィットするので装着を苦に感じたことはありませんが、合わない人はすぐにポロッと耳から外れてしまうことも少なくないようです。

音質では文句の付けようがないイヤホンなので、この辺り(デザインや装着感)が妥協できれば、または何よりも音質を最優先したいのであれば、普段使いのメインイヤホンとしてのコストパフォーマンスは最強と言って差し支えないレベルの製品です。

まあ、あえて音質面で気になる点を挙げるとすれば、各メーカーの同価格帯カナル型イヤホンの最新モデルに比べれば、やや音抜けが悪いと感じる点でしょうか。それでも音場の広さと解像度の高さが十分にカバーしてくれているので、音質の総合力ではNo.1だと思いますが…。

ちなみに上記のような特長に加え、低域から高域まで全く偏りなく音を出してくれる完全にフラットなチューニングが絶妙です。解像度の高さも相まって、原音に忠実な再生という意味でもイヤホンとしてはトップレベルの性能を誇っていると思います。

1万円くらいの価格帯のイヤホンからの乗り換えなら、今まで聴こえていなかった音がはっきりと聴こえてくるようになるという体験が確実に可能で、「この曲にこんな音が録音されていたんだ!!!」ということが度々でてくることでしょう。

聴こえてくる音の世界が変われば、その音楽やアーティストに対する解釈も変わってくることがあるはずです。何を隠そう、筆者がオーディオの世界に引き込まれたきっかけが、この10 Proの音を始めて聴いたときの衝撃でした。

ポータブルオーディオの音質はそれなりに気にしているが、まだ5万円クラスのイヤホン等には手を出したことがないという人は、ぜひ一度10 Proを聴いてみることをオススメします。2万円弱で購入可能な今の価格であれば、買って後悔することはまずあり得ません。

最後に、このイヤホンが向いている音楽のジャンルとしては、完全にロックやポップス向けサウンドになります。なので、価格が下がっている現在なら、中高生や普段クラシックなどを聴かないオーディオファン以外の人にも高級オーディオの入門機として最適だと思います。

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