Ultrasoneの超高級ヘッドホン(15万円)「Edition8」レビュー!

Edition8

今回購入したのは、ドイツのヘッドホンメーカー「Ultrasone(ウルトラゾーン or ウルトラゾーネ)」のフラグシップモデル「Edition8」です。Ultrasoneとは1991年に設立された高級オーディオ界では比較的新興のメーカーですが、ブランド力では同じくドイツの老舗メーカーであるゼンハイザーやベイヤーダイナミクスと並ぶ有名メーカーで、2chなどではよく「ゾネ」とか「ゾネホン」と呼ばれています。

Ultrasoneのヘッドホンの特徴的な点として、ULE(ULTRA LOW EMISSION)と呼ばれる独自の電磁波低減技術が搭載されており、磁界の塊であるヘッドホンのドライバ部分をミューメタルという特殊な金属で覆うことによって、ユーザーの頭(脳)に悪影響を与える可能性のある電磁波を98%もカットしてくれるという触れ込みの安心設計になっています。

そんなことから、単に音質のみを追求するのではなくユーザーの健康も考慮しているという開発姿勢で他の海外の高級ヘッドホンメーカーとはかなり違う立ち位置をとっているUltrasone社ですが、今回レビューするそんなUltrasoneのフラグシップモデルである本機(Edition8)、実売価格は15万円弱というとんでもない値段になっています。


Edition8

箱はこんな感じ。この価格帯のヘッドホンとしては控えめな化粧箱で、これを見ただけでは高級機かどうかの判断も付かないような代物ですが、見た目によらずかなりタイトな作りで開けるのに一苦労しました。

Edition8

外箱を外すと中から白い段ボール製の箱が出てきます。ヘッドホン本体とその他付属品が緩衝材とともに適当に収められているだけ。何か普通ですね…。高価な道楽品の割にはやはりイマイチ高級感がないと言うか…。

Edition8

付属品一式。ヘッドホン本体と延長ケーブルのほか、クリーニングクロス、キャリーケース、保証書。キャリーケースは作りがしっかりしていて質感も非常に高く、単品で買うとこれだけでも数千円以上はしそうな雰囲気です。

Edition8

Edition8にはRuthenium、Palladium、Limitedというデザインが異なる3つのモデルが存在しますが、今回購入したのはRuthenium。ハウジングの筐体がルテニウムという金属でメッキされていて鏡面のようにピカピカ。

Edition8

イヤーパッドや頭部のバンドの素材はエチオピアン・シープスキンという柔らかく上質な天然皮革が使用されており、肌触りがとてもよく装着感を高めているだけでなく、ヘッドホン全体の高級感を高めるような存在感があります。

Edition8

イヤーパッドの内側を覗いてみると、電磁波低減のためにドライバ部分が所々穴の開いた金属板で覆われていることが分かります。音が出る部分をこれだけ大きく覆うと設計がかなり制限されてしまいそうですが、その中でも高音質を実現しています。

Edition8

シリアルナンバーとMADE IN GERMANYのシールが貼ってありました。写真ではシリアルナンバーは下2桁はモザイクで隠させてもらいましたが、数字は2300番台です(つまりこれだけの値段のヘッドホンが世界で2300台以上も売れている訳ですね…)。

簡単に写真を載せましたが、Edition8本体のファーストインプレッションとしては、(パッケージは上のようにそっけないですが)とにかく価格に見合うだけの高級感が十分にあります。ルテニウムメッキによる鏡面的な筐体の仕上げとエチオピアン・シープスキンの高い質感が相まって、全体として非常に高い高級感を醸し出しているのが印象的です。

音質についてですが、非常に解像度が高く一つ一つの音の粒がとにかく奇麗。フラットよりもやや高音寄りのエッジの効いた煌びやかな音。そんな印象です(ネット上の評判では一部に”ドンシャリ”という評価がありますが、音の傾向としては確実に高音寄りで、低音の量は少ないです)。

分解能が高く、音の輪郭が非常にはっきりしていていますが、録音されている音を低域から高域まで全て洗いざらい聴かせるようなモニター機ライクな乾いた音作りとは明らかに違い、一つ一つの音にしっかりと密度や滑らかさがあって刺さるような不快感もない自然な音です。

それほど個性の強い音が出るというわけでもなく、オーディオマニアではない普通の人が想像するような「良い音」をそのままうまく再現したような音作りだと思います。逆に言えばゼンハイザーなどの一部の海外メーカー特有の音を求めているオーディオマニア的な人にとってはあまり面白味のない音に感じるかもしれません。

ちなみに、Ultrasoneのヘッドホンの独自技術として、冒頭に紹介した電磁波低減機能であるULE(ULTRA LOW EMISSION)のほかに、S-LOGICという自然な頭外定位を実現する(メーカー談)ためのドライバ構造をとっており、実際に聴いてみるとこれがなかなか特徴的です。

音場の広がりについては密閉型のヘッドホンなので見た目通り狭いですが、S-LOGIC特有の定位感が一般的なヘッドホンと比べてかなり特殊で、音楽ソースや録音状態にもよりますが、額からこめかみの辺りから音が発しているかのような錯覚を覚えます。

まあ、お世辞にもメーカーが宣伝しているような自然な定位感といえるようなものではなく、最初は結構な違和感がありますが、少なくとも一般的な密閉型ヘッドホンにくらべて頭の中で音が鳴っているような感覚は大分軽減されるのは確かで、個人的にはいったん慣れてからはこちらの方が気に入っています。

これはあくまで、音がどの位置から出ているように聞こえるかという定位感の話なので、音場の広がり云々とはまた別の問題です。何度も言いますが音場は狭いので、立体感や迫力のある「すんげぇ!すばらしい!!」という音を求めている人には向いていません。

また、特に気に入った点としてはエチオピアン・シープスキンの柔らかさや肌触りの良さのおかげもあって装着感が非常に良く、ハウジングは大きい方ではありませんが標準的な大きさの耳をすっぽり覆うだけの深さやサイズがあり、この価格帯のヘッドホンとしては重量も軽いので長時間の使用でもかなり疲れにくくなっています。

ポータブル用途も考慮して設計されているヘッドホンのため、ずれにくいよう側圧はやや強めで、さすがに2時間も連続で装用すると側頭部に負担を感じるようになってきますが、それでも耳の部分にはほとんど力が加わらず、かなり長時間使用していても痛みを感じることがないという意味では手持ちのヘッドホンの中で一番の装着感です。

個人的には、解像度の高さや装着感、デザイン、この価格帯のヘッドホンとしては軽量で取り回しも良く気に入っていますが、音だけ見るなら15万円弱という価格に十分に見合っているかと言うと、確かに解像度や分解能は素晴らしいものの、やはりこの価格帯のヘッドホンとしてはいまいち音の広がりに欠けるため、総合力でもう一押し足りないというのが正直なところ。

そもそもがポータブル用途も考慮した密閉型ヘッドホンなのですが、この価格帯のヘッドホンを持ち歩く人はそう多くないはず。室内でじっくり高音質を楽しむような使い方がメインになると思いますが、ならばゼンハイザーのHD800やベイヤーダイナミクスのT1など他のメーカーの同価格帯の製品にいった方が満足できるかもしれません。

なのに今回、筆者があえてEdition8を選んだ理由としては、先に紹介したULE(ULTRA LOW EMISSION)と呼ばれる電磁波低減技術と高音質を両立しているという他メーカーのヘッドホンにはない強みに強く惹かれたからです。

これはドライバ部分を金属板で大きく覆ってしまう構造のため、他メーカーの同価格帯ヘッドホンと比較すると音作りにある程度制限が課されてしまうのは仕方ないことだと考えられますが、それでも音がこもった感じは全くなく、これだけの高音質を実現しているのは流石と言うほかありません。

ヘッドホンの電磁波というのは普段あまり気にかけませんが、危険性はかねてから指摘されていることで、電磁波が脳に悪影響を与えるという科学的な証明こそされていないものの、健康リスクを冒してまで音楽を聴きたいわけではありませんし、頻繁に長時間使用する人に取っては不安要素は少ない方が良い。

それが高音質のヘッドホンともなれば電磁波の強さはなおさらで、例えば先に挙げたベイヤーダイナミクスのフラグシップモデルであるT1などは、1テスラという超強力な磁束密度を生み出すことによってそれだけの音質を実現している製品です(1テスラがどれくらいヤバいのかと言うと、医療用のMRIが1.5テスラくらいです)。

実際のところ、世の高級オーディオメーカーでユーザーの健康を考えた製品開発を行っているのは、有名メーカーではUltrasone社くらいのもので、筆者のようなヘッドホンの電磁波が気になるが高音質で聴きたいという人間にとっては、Edition8のような選択肢があるのは有り難いことなわけです。

今回Edition8の購入に踏み切った理由としては、試聴段階でデザインや装着感が気に入ったというのもありますが、そういった製品を世に送り出してくれる開発姿勢や企業ポリシーは素直に支持したいと思うので、そのためなら大金を落としても良いかな…と考えたのが決め手でした。

まあ音質について色々能書きを列べてみたところで、ヘッドホンの価格というのは数万円クラス以上になると単純に価格と音質が比例しているというわけではなく、これはもう究極を言えば個々人の好みの問題なので、コストパフォーマンスを度外視しなければ普通はこの価格帯のヘッドホンには手を出すことはできません。

また、いくつかの候補の中からヘッドホンを選ぶ際に、店頭などでの試聴段階で好みの音に感じても、いざ購入して静かな場所で聴いてみたら視聴時の印象とは全然違った音に聞こえるとか、しばらく使ってみたらすぐに飽きてしまった、もっとよく考えて別のにすればよかった、ということがよくあるのがヘッドホンの世界です。

そんな中で、Edition8にこのような付加機能があるのは、他メーカーの同価格帯ヘッドホンと比較して購入を迷った際などに思い切って決めるときの1つの指標として価値を見出すのも良いのではないでしょうか。一度購入したら少なくとも数年は大切に使う耐久消費財なので、後で後悔しないものを選びたいですね。

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